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ゼミの思い出(司法書士試験予備校仲間)

予備校の入門講座に通っていた時、同じ講義を受けていた受験仲間と一緒に、週1回3時間の少人数のゼミをしていた。

このゼミがなかなか面白くて、勉強の役にたったので、その思い出を書いてみる。

きっかけはベテラン受験生

とある日の講義の時、同じクラスだったけど、全く話したこともない人から話しかけられた。

「ゼミするんだけど、参加しませんか?」

存在を消しながら講義を後ろの方の席で受けていたので、それまで他の受験生に話しかけるのはもちろんのこと、話しかけられることもなかったので、ちょっとびっくりした。

ゼミの内容は、週1回3時間、数人で集まって、講義でやった内容の問題を皆で解くというもの。

その頃はまだ自分の殻に閉じこもって勉強していたので、受験仲間とかいらないと思っていた。でも折角声をかけてくれたし、専業受験生だったので人と触れ合う機会も少なく、ちょっと人寂しい時期だったこともあって、参加してみることにした。

ゼミ:第1期

ゼミには、毎回5~6人くらいの人が集まった。

声をかけてくれたベテラン受験生(Aさん)の他、会社員をしながら兼業で勉強している人、専業受験生、主婦等、ゼミに参加する人の年齢も職業もバラバラだった。Aさん以外は、皆、初学者か初学者レベルの知識の人だった。

ゼミの初めの頃は、ゼミ開催前の1週間の講義で習った範囲の問題を皆で解き、解き終わった後に、1人が解答とその解答をした理由を述べて、ベテラン受験生のAさんが解説をするというもの。

このゼミの内容は、他の受験生がどういった思考回路で答えを出しているのかを知ることが出来て良かった。でも問題を解く時間が各自バラバラだったり、解答したあとは結局、問題の解説を読み上げるような形だったので、ゼミとして皆で集まってやる内容には適していなかった。

そのような形で数回ゼミを開催した後、ベテラン受験生Aさんが講師となって、1週間の講義の内容を復習する形式に変わった。Aさんが説明しながら、順番に一人一人に質問しながら答えていくというもの。

これがとても役に立った。予備校の先生は講義でとても分かりやすく説明してくれる。でもどんなに分かりやすく説明してくれても、そもそもの内容が難しいので、一回では理解できない。Aさんの説明を聞くことで、講義の内容を復習できて、理解する一助になった。

また、質問されて口頭ですぐに答えなければならないので、反射的に答えを出す訓練にもなった。このゼミのおかげで「質問される→質問された内容をまず理解する→脳内の知識を引っ張りだす→整理する→答えを出す」という一連の流れを、一人で問題を解くよりも早くできるようになった。

皆の前で答えるので、間違えた問題は、恥ずかしさもあって印象に残って、より記憶に定着するようになったのも良かった。

あと、Aさんは毎回レジュメを用意してくれた。Aさんは専業受験生だったので、兼業受験生よりは時間はあったろうけど、毎回ゼミのためにレジュメを用意するのはかなりの労力だったと思う。

Aさんに「ゼミの講義の準備をしたり、レジュメ用意するの大変じゃないですか?」と聞いたことがあった。Aさんが、ゼミをするのには理由があった。

一つは、ゼミで皆の前で説明したり、レジュメを用意することで、自分も勉強になるとのこと。確かに、人に教えるためには自分が正しく内容を理解していないといけない。分かりやすく人に伝えるためには、理解した内容のポイントを押さえて話さなければならない。分かりやすいレジュメを作るのも、理解した内容を整理してまとめなければならない。講義を聴いたり一人で問題を解くよりも勉強になるだろうな、と思った。

もう一つは、司法書士試験に合格した後は、予備校の講師になりたいので、そのための練習も兼ねているとのこと。合格後を見据えて今から活動するのは、司法書士事務所で補助者として働くのと似ている。

Aさんの話を聞くまでは「毎回準備も大変なのに、なぜ皆のためにゼミを開いてくれるのだろう。」と思っていた。でもAさんの話を聞いて、ゼミの開催はAさんの講義を受ける方だけにメリットがあるわけではなく、Aさんの将来に繋がるメリットもあってしているのだな、と納得できた。

そんな感じで週1回ゼミを続けていたのだけど、このゼミは数カ月で終わった…。表向きには、それまで使用していた予備校のゼミ室が使えなくなるという理由だったけど、実際のところは、Aさんの負担が大きくてAさんが辞めたくなったんだと思う。真実は分からないけど。

一度、Aさんがお休みすることがあって、自分がAさんに代わってゼミの講師を務めたことがあった。1回3時間の講義だけど、そのための準備にとても時間がかかった。習いたての内容なのでそもそも理解していない。皆には間違ったことは伝えられない。丸3日ほどはそのゼミのために準備していたと思う。

おかげで前1週間で習った講義の内容は理解することができたけど、他の科目の復習もしないといけないのに、ゼミの準備期間は復習が出来ず、自分の勉強するペースが崩れた。Aさんは毎週こんな感じで準備していたのかと思うと、Aさんの負担は計り知れないものがあった。

Aさんは豊富な知識はあるけど、合格者ではなくて、自分たちと同じイチ受験生。このゼミがなくなったのは年明けだったので、自分の勉強に集中したくなったんだと思う。そりゃそうだ。年明けからは本格的に本腰を入れて勉強をしないといけないのは、初学者もベテラン受験生も同じ。反対する人は誰一人としていなくて、このゼミは消滅した。

ゼミ:第2期

Aさん主体のゼミはなくなったのだけど、ゼミを開催することのメリットは沢山あった。そういう訳で、Aさんはいなくなったけど、ゼミで仲良くなった受験仲間2人と一緒に、3人だけでこじんまりゼミをすることにした。

ベテラン受験生はいなかったので、皆初学者レベル。誰も講義は出来ないので、3人で予備校の基本問題集を解いて解答を言い合うという形式でやることにした。Aさんが開催してくれていたゼミの初期の形式と同じだけど、一点違ったのは、3人という少人数だったので、1人が躓いた問題を深堀して検討できたという点。

間違えた本人は、その問題を他の2人からの説明を聞いて納得できるまで掘り下げることが出来る。他の2人は、どうやったら分かって貰えるように説明できるかを、あれこれ検討しながら1つのことを色々と角度を変えて話すので、関連知識を引っ張ってきて説明することで自分の頭を整理することが出来た。

そんな感じで数カ月この形式のゼミを続けたあと、4月に入り、直前期になったので、そこからは各自自分の勉強に集中しようという理由で、このゼミもなくなった。

ゼミの開催は、勉強の役に立った。でもそれ以上に良かったのは、ゼミを通して気の合う仲間が出来たこと。ゼミをするまでは受験仲間とかいらないと思っていたけど、同じ目標を持つ仲間が出来たことで、勉強することの大変さを共有出来たり、お互いの頑張りを見ることで刺激になって勉強を続けるモチベーションにもつながった。

第2期のゼミをしていた2人は、今はもう司法書士試験の勉強から撤退したみたいだけど、司法書士試験のことは抜きにして、今も交流がある。大人になってからは、気の合う友達を新しく作るのは難しい。良い出会いをくれたゼミに感謝している。


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