前回は、[株主総会決議による解散と清算人及び代表清算人の選任(選定)登記]について書いた。
今回は、その続きで、清算結了登記について。
税理士との連携も大事になる清算結了登記申請
清算結了の登記といえば、受験時代は、
- 解散後2カ月を経過した日以降に、申請書と添付書類として「株主総会議事録」「株主リスト」「委任状」をつけて、決算報告に関する株主総会の承認の日から2週間以内に申請しないといけない。
- 登録免許税は(ハ)で2000円(商登の免許税の中では安い税額なので印象的)。
- 債権者保護手続きをしたことを証する書面はつけなくていい。
くらいのことだけを覚えていて、そんなに深くは突っ込んで勉強していなかった。
実務ではどうかというと、解散から清算結了するまでに、債務の弁済であったり、残余財産の分配であったり、清算手続きを終わらせていないと当然に清算結了とはならないので、ちょっと大変。
多くの場合、そこらへんの手続は、清算人と、その会社の税理士の方がやるのだけど。司法書士の仕事としては、会社が不動産を持っていたりしたら、その売却手続きに携わることもある。清算結了したら清算結了の登記申請をおこなう。
ここで注意すべきは、添付書類として決算報告書をつけないといけないこと。法務省の公式ページの申請書例でも、「1.添付書類 株主総会議事録(決算報告書を含む。)」となっている。
決算報告書は、税理士が作成することが多いけど、規則では、以下の内容が満たされていることが必要なので、内容はきちんと確認する。
1 | 債権の取立て、資産の処分その他の行為によって得た収入の額 |
2 | 債務の弁済、清算に係る費用の支払その他の行為による費用の額 |
3 | 残余財産の額(支払税額がある場合には、その税額及び当該税額を控除した後の財産の額) |
4 | 一株当たりの分配額(種類株式発行会社にあっては、各種類の株式一株当たりの分配額)(①残余財産の分配を完了した日②残余財産の全部又は一部が金銭以外の財産である場合には、当該財産の種類及び価額) |
(法務省の「株式会社清算結了登記申請書」記載例より転載) |
そんなこんなで、清算事務が結了し、株主総会で決算報告の承認をうけたら、清算結了の登記申請をする。
ところで、登記研究429号で、解散登記・清算人及び代表清算人の就任登記・清算結了登記は一括申請できるとされている。
解散登記は解散事由が発生した日から2週間以内にしないといけない。清算結了登記は決算報告に関する株主総会の承認の日から2週間以内にしないといけない。清算結了の登記申請は、解散後2カ月を経過しない日を清算結了の日とする登記は申請できない。
解散登記と清算結了登記を一括申請するということは、解散事由が発生した日から確実に2週間を超えている。登記懈怠は代表者個人に対して100万円以下の過料の制裁を受ける可能性がある。
一括申請が出来ることと過料の制裁対象であることは別の話。