本店移転といえば、会社のお引越し。
事業を拡大するために新社屋に移転したり、解散に伴って既存社屋を引き払ったり等、本店移転する理由は様々。
今回は、本店移転登記申請のお仕事の話。
定款変更に行政庁の認可がいる場合は要注意
本店移転登記をする場合、管轄内に移転するか、管轄外に移転するかによって、申請手続きが異なる。自分が今まで経験したものだと、管轄内移転が多かった。商圏の関係もあるんだろう。
管轄内移転の場合、ミニマムな手続きだと、取締役の決定で本店所在場所と移転時期を決めるので、申請書に取締役決定書と委任状を添付して申請する。
もし定款で決めている本店所在地と違う場所に移転する場合は、定款変更の手続きが必要。株主総会を開いて、特別決議で本店所在地の変更決議をする。その場合は、申請書に株主総会議事録の添付が必要。
…と、決議事項も少なく、申請書につける添付書類も少ないので、どんな時でもスムーズにいきそうに一見思いがちだけど、注意すべきことは結構ある。
例えば社会福祉法人や協同組合等の、定款変更に行政庁の認可が必要な場合。
定款記載の本店を変更し、その定款が効力を成すためには、行政庁の認可を受けないといけない。認可団体にもよるけど、認可されるまでに約1カ月。事前に打ち合わせして段取りしておくと、それより早く認可されることもある。ちなみに、報酬を得てする行政庁への認可の申請代理は行政書士さんのお仕事。
認可書が届いた後に、やっと申請できる。申請書には「認可到達年月日 令和○年○月○日」と書いて、添付書類の欄には「○○議事録及び認可書」と書く。認可到達年月日は、委任状にも記載が必要。
受験生の当時は、こういったことは勉強しなかったので、実務に入って初めて知った。基本は書籍で調べるけど、今はネットでも色々と有益な情報を提供して下さっている方が沢山いらっしゃるので、とても良い時代。
錯誤による更正登記だけは絶対回避
ところで、本店所在場所は、不動産登記の住所変更登記のように、住民票の写しをつけて申請するわけではない。議事録記載の本店所在場所に基づいて登記すべき事項に記載した所在場所で登記される。公の書面をつけて申請しないので、記載ミスなどないか、より注意が必要。
もし、間違えて登記してしまったら、大問題。本店移転登記に限らず、登記内容を更正したことは、登記簿に残る。簡単にいうと、登記簿が美しくなくなる。
商業登記の更正登記の登録免許税は2万円。デカい。そして「錯誤があることを証する書面」を添付しないといけない。もしも、こちらのミスで間違った登記をしてしまうと、会社さんに平謝りして、錯誤書面に押印を貰うことになると思う。
幸い、今までそんなことは経験していないのだけど、そんな事態にならないように、登記申請する時は、いつも細心の注意を払う。