以前に、「独学で合格する人がいるんだから、独学で合格することも可能なんじゃないか。自分には無理だと思うけど。」という記事を書いた。
試験科目が多く、覚えることが膨大で、択一式に加えて記述式試験もある司法書士試験に独学で合格するのは難しいんじゃないか、というのが個人的な見解だった。
しかし、同期の話を聞いていると、独学で受かった人も少なからずいる。その中でも、「この人のやり方は独学するのに参考になりそう」と思った勉強法があったので、紹介したいと思う。
ちなみに、その人は、フルタイムで働きながら、独学で2回目の試験で合格している。
択一式の独学勉強法
択一式の勉強法は、まずはテキストを読まずに、過去問を解くというもの。過去問から解くことで、大体どんな問題が出るかを把握するのだそう。
もちろん、何の知識も無しに過去問が解けるわけもない。解くというよりは、「問題を読んで解説を読む」という、過去問をアウトプットの教材ではなく、初学習のインプットの教材として利用していたとのこと。
使っていた過去問集は、LECの『合格ゾーン』。他の過去問集に比べて、『合格ゾーン』は問題の収録量が多いので、過去問は『合格ゾーン』さえやっていれば大丈夫だと思ったとのこと。
ざっと一通り過去問を解いた(読んだ)後に、初めてテキストを読んだとのこと。使っていたテキストは、山本先生の『オートマ』シリーズ。独学者から評価が高い人気のテキストといえば『オートマ』。
テキストを読む時も、過去問で頻出されている論点はしっかり読み込むけど、頻出でない事項については、サラッと読み流しする程度にしていたそう。時間があれば深追いしていたかもしれないけど、フルタイムで働いていたので、重点的にやるべきこととそうでないことにメリハリをつけて勉強することを意識して取り組んでいたとのこと。
テキストも一通り読み終わったら、あとは『合格ゾーン』を解いて、『オートマ』を読むの繰り返し。勉強を始めた頃から、合格する年の試験日まで、一貫してこの方法で学習を続けていたとのこと。
・いきなり過去問から解く。過去問は収録量の多い『合格ゾーン』
・過去問解いた後にテキストを読む。テキストは独学者に好評の『オートマ』
・テキストを読む時は、重点的にやるところと、そうでないところにメリハリをつけながら読む。
・過去問とテキストを一巡したら、その後は過去問⇔テキストの往復学習。
記述式の独学勉強法
記述式は、本試験の3か月前までは、一切問題を解いていなかったそう。それまでは、ひたすら雛形集で雛形を覚えていたとのこと。
使っていた雛形集は、LECの海野先生の『雛形コレクション』。LEC生のみならず、雛形集で良い評判を聞くのは、この雛形集。自分は予備校附属の雛形集を使っていたので、『雛形コレクション』は使っていなかったのだけど、使っていた人に聞くと、合格後も実務で雛形を参照する時にも使えると言ってた。
直前期に入る前までに『雛形コレクション』で雛形を頭に叩き込むことに専念して、問題を解き始めたのは、直前期の4月に入ってから。直前期には『オートマ記述式問題集』を使って問題を解いていたそう。
自分は、予備校の講義を受けて、雛形を覚えて、答案構成の練習をして、やっと記述式問題を解けるようになった。「雛形覚えただけで、いきなり問題が解けるようになるものなのかな?」と疑問に思うとこがあったのだけど、初めから概ね解くことが出来たとのこと。
雛形を覚える時は、「この雛形は、どういった経緯でこの雛形になるんだろう」ということを考えながら覚えていったそう。問題文には、雛形を覚えていく時に自分の頭の中で考えていたロジックやストーリーが書かれているだけなので、問題文を読んだあとは、ただ雛形を当てはめていく作業をして解答するだけだそう。もちろん答案構成用紙も使わない。
・雛形を徹底的に覚える。使っていた雛形集は『雛形コレクション』
・雛形を覚える時は、「なぜこの雛形になるのか?」というのを常に考えながら覚える。
・雛形を徹底的に覚えたら、記述式問題は抵抗なく解けるようになる。
答練・模試について
答練は一切受けず、模試は1回だけ受けたとのこと。
1回受けた模試で、大体の時間感覚がつかめて、模試の結果も良かったことから、何度も模試を受けるよりも、自分の勉強法で勉強する時間をとった方が合格に近づくだろうと思ったらしい。
自分は答練や模試は通算何回受けたのだろう…。予備校に一体いくら使ったんだろう…笑。
フルタイム兼業独学で2年で受かった話を聞いて
今回は、「フルタイムで働きながら、独学で2年で受かった」合格者の話を書いた。
こうして書くと、もともと天才脳の持ち主で、その人だから合格できたんじゃないか?と思う人もいると思う。でも自分が見た感じでは、他の合格者と変わらず、ごく一般的なパーソナリティの方だと思う。
兼業独学で短期合格できた一番の要因は「自分に合った勉強法が確立されていて、それを貫き通した」ことだと思う。
自分の場合は、周りの情報に流されて、本来アウトプット重視型の勉強が得意なはずなのにインプット重視型の勉強を3年間やってしまったり、問題を解く順番を決めるのに4年かかったりした。自分の勉強法というものが確立せず右往左往していたので、合格までに何年もかかった気がする。
自分に合った勉強法を見つけるのって本当に難しい。予備校の先生の言うことを素直に受け取って、予備校のカリキュラムに則って、その通りにやっていれば受かる人もいる。今回紹介した人のように、過去問をいきなり解いてテキストを読んでいく勉強をして受かった人もいる。勉強法はほんとに人それぞれ。
巷には勉強法というものは色々ある。勉強法に正解があるとしたら、自分に合った勉強法だと思えるものが、正解なんだと思う。そして正解を見つけることが出来たら、司法書士試験に兼業独学で短期合格することも不可能ではないんだな、と思った。
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