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『セイギとミライ-熱血司法書士の事件簿-』第3件目「戸籍」

セイギとミライ3戸籍

セイギとミライ-熱血司法書士の事件簿-』第3話は「戸籍」がテーマ。

今回の依頼内容は「遺産分割協議書の作成」と「不動産登記の申請代理」。その前段階の必要な戸籍収集にまつわるお話。

戸籍集めは一筋縄にはいかない

自分や被相続人の戸籍等は司法書士でなくても一般の方でも役所にいけば(又は郵送で)取得できる。なので司法書士が取得する意味があるのかという件がある。

そうそう、実務を始める前、何も知らない当時の自分も「役所にいけば取れるし、戸籍収集ってそんなに難しいもんかな?」と思っていた感がある。それまでに取得した戸籍といえば、パスポートを取得する時等に取った自分の戸籍くらい。役所の申請用紙に必要事項を記入して、窓口に提出すればすぐに取得できた。

そんな感じで戸籍を取るって別に難しくないよなーと思っていたのだけど、ところがどっこい、相続手続に必要な戸籍を取るって、意外に難しい。

本籍地での取得と相続人の確定

相続登記の場合、被相続人の出生から死亡までが繋がる戸籍等を揃えないといけないけど、まず一つ目のハードルが「どこの役所で取得できるのか」を把握すること。基本的には本籍地のある市区長村の役所に請求して取得するのだけど、例えば「生まれて、引っ越して、結婚して、引っ越して、離婚して、引っ越して…」みたいな感じで、その度に転籍していた場合は、それぞれの市区町村に請求しないといけない。

一度でどこの役所で取得できるのかが把握できる訳ではなく、死亡時の除(戸)籍をとって、そこに転籍の記載があれば、その前の戸籍等を取って、そこでまた転籍の記載があったらその前の戸籍を取って…と、死亡時から出生時までを遡って順次取っていくことになる。戸籍を読み間違えて取得できる役所を間違えてしまうと当然取得できない訳で、それだけ手続きが遅れて依頼者に迷惑がかかるので、どこの役所で取得できるのかを正確に把握するのは、とても大事。

被相続人の戸籍等だけじゃなく、相続人の戸籍を取る時にも気をつけないといけないことがある。相続人が配偶者と子だけの場合等は収集する戸籍は少ないことが多いけど、相続人が兄弟姉妹の場合で、その兄弟姉妹が既に死亡している場合等は、それだけ取得しないといけない戸籍が多くなる。戸籍量が多くなると、それだけ読み解かないといけない戸籍が多くなる訳だけど、相続人の確定は絶対に間違えてはならず、相続人の見落としなどもっての外。相続人を間違えると、そもそも遺産分割協議が成立しなくなるからね。戸籍収集の仕事って結構神経を使う。

古い戸籍の読み解き

2つ目は、改製原戸籍以前の戸籍等の読み解き。『セイギとミライ』の第3話の中で、戸籍の種類の例えが紹介されているのだけど、それがとても分かりやすい。『セイギとミライ』の話の中では、度々こういった分かりやすい説明が紹介されている。お客さんに説明する際に引用させて頂いたりしています^^;。楽しみながら読める上に、勉強にもなって実務にも役立つので、『セイギとミライ』、ほんとおすすめです。

名称通称説明イメージ
戸籍(謄本・抄本)現戸現在進行形で在籍している人がいる戸籍今住んでる家
改製原戸籍(謄本・抄本)原戸戸籍法の改正によって形式が変わる前の戸籍リフォーム前の家
除籍(謄本・抄本)除籍死亡や婚姻・養子縁組などで戸籍に入っていた人が全員抜け誰もいなくなた戸籍空家

古い戸籍は、墨字で縦書きに書かれている。たまに凄く達筆(クセ字?)のものや、字がつぶれているものや、字が薄いものや、旧字で見たことのない字が書いてあるものがあって、読み解くのに苦労するものがある。今は慣れてきて読めるようになったけど、仕事をし始めの頃は「これなんて書いてんの?」と、一つの戸籍を読むのにとても時間がかかっていたw。

郵送申請

3つ目は郵送申請する時かな。遠方の役所で戸籍等を取得しないといけない時は、職務上請求書、小為替、返信用封筒等を入れて郵送で請求する。「誰のいつからいつまでの」戸籍が欲しいということを伝えないと、目的の戸籍が取得できない。「誰の」は、請求書に書くから間違いはないのだけど、初めの頃は「いつからいつまでの」戸籍がいるのかの正確な伝え方に試行錯誤していた。最近はコツが分かってきたので、間違えることはなくなったけど。

戸籍収集ひとつとっても、実務をし始めてた頃から成長してるんじゃないかなと思う今日この頃w。ちなみに改正戸籍法の成立で、そのうち本籍地以外の市区町村でも戸籍を取得できるようになる。

今回も『セイギとミライ』は面白かった。司法書士って名前は知っているけど、実際に何をしている人なのかを知っている人は結構少ない。司法書士業界にいる方以外の多くの方にも読んで欲しいなー。

第4話も楽しみ!


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