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『セイギとミライ-熱血司法書士の事件簿-』第7件目「手紙」

セイギとミライ7手紙

セイギとミライ-熱血司法書士の事件簿』第7件目のテーマは「手紙」。

第6話の終わりの未来先生の件で、続きがずっと気になっていた。そして今回のタイトルが「手紙」。これまでは「戸籍」や「遺産分割協議」や「遺言の検認」等、直接的に司法書士の仕事がイメージできるタイトルだったけど、今回は「手紙」。

実務の中で手紙を書く機会も結構あるので、今回の話も共感しながら読むことができた。

依頼者や相続人に寄り添う相続案件

今回は、被相続人の戸籍をあげたら、自分の知らない相続人がいたという話。これまでやった仕事で、子がおらず親や祖父母も亡くなっていて、相続人が兄弟姉妹だった場合に、その兄弟姉妹から代襲相続や再転相続がおこっていたり、亡くなった方の配偶者が相続人だったけど、その配偶者も亡くなっていて、配偶者側の家族・親戚が相続人になっていた場合など、依頼者と関係の薄い方が相続人になっている場合は結構あった。

そういった場合、交渉がおこる場合は弁護士さんにお願いするわけだけど、依頼者がファーストコンタクトとしてお伺いをたてる意味で連絡を取る場合には、本人の動きをサポートすることがある。その一つが手紙の書き方。父母等が亡くなったこと、亡くなって相続がおこったこと、手紙の相手方が相続人であること、相続について依頼者がどう考えているかということ等、事実と依頼者の考えを端的にまとめて1枚の紙にまとめる書き方をお教えする。

先日やった案件で、代襲相続や数次相続が幾重にも渡り、相続人が数十人にもなっていたことがあった。顔も知らない全く付き合いの無い相続人も沢山いた。

数年前に、それらの相続人方とご自身で連絡を取ったり、専門機関に頼んだりして解決しようとしたのだけど、その時は相続人と連絡が取れなかったり、取れても協力が得られなかったりして断念したとのこと。

そして今回、とあるきっかけで自分のところに依頼がきた。膨れ上がった相続人、膨大な戸籍等の書類、依頼を受けた時には、まずは実体関係を把握するのが大変だった。

数年前から今までに、相続人が亡くなったりして、以前に取得された戸籍や戸籍の附票等はそのまま使えるものが少なく、全国の役所にそれらを取り寄せた。取り寄せた戸籍を確認すると、更にそこから相続が起こっていたり。また、ご健在でも、その方に後見人がついていたりもした。

相続放棄をされる方、遺産分割協議に協力して下さる方、なかなか協力が得られない方。それぞれの立場やお考えがあるので、相続人の意思を尊重しながら慎重に進めていく。

司法書士は依頼者の代理人として交渉は出来ない。依頼者が主体となって進めていく。サポーター的な役割として依頼者と密に打ち合わせをし、依頼者の意図を汲み取り手続きを進めていく。

決済業務であれば、決済日が決まっていて、依頼を受けてから、その決済日までに万全の準備をし、決済日に申請をしたら終了する。依頼を受けてから完了までの期間が決まっていて、正解も決まっている。でもこういった相続の場合は、終わりの日が見えないままに進んでいく。

もちろん、なるべく早く解決するように尽力はするけど、相手の意向やレスポンスによって左右される場合も多く、こちらの意向だけでコトが進む訳ではない。依頼者の「解決するのだろうか…」という不安を緩和させるためにも、こまめに報告をしたり、今思っていることを教えて頂いたりしながら進めていった。

そして、やっとのことで全ての相続人の意向が確認出来、必要書類が揃い、相続登記申請が出来る段階になった。依頼者にその旨を報告した時に「以前に頓挫したこともあって、依頼した時は解決できるとは正直思っていませんでした。でも、こうして解決して頂き、こちらの心のケアまでして頂いて、本当にありがとうございました。」と言われた。本当に嬉しかった。

登記の仕事は、一点の曇りなく完璧に遂行して当たり前の仕事。成果物は出来上がった権利証であったり、登記簿に記載される数行の事項だけかもしれない。でも、それが出来上がるまでには様々な段取りや遣り取りが必要。

ただ機械的に淀みなく進めていくだけではなく、依頼者に寄り添って物事を進めていく。仕事を完遂するまでの過程も、とても大切であることを改めて認識できた案件だった。

第7話では、正義先生が手紙を書いて、依頼者が知らなかった相続人に手紙を出すわけだけど、ここで描かれている内容にとても共感できた。どのような内容にしたら良いかを悩む姿、手紙を出して返信が来るまでの間の気持ち。最後は返信がきたところで終わる。また続きが気になる終わり方だ^^;。

司法書士試験に合格したという事実

7話の中で、葛城先生が正義先生に向けて『司法書士試験は年齢・性別・学歴・国籍まで不問だ』『司法書士試験に合格したのは事実だろ?』というシーンがある。

同期をみていても、ほんと様々なバックグラウンドを持った人がいる。学生からそのまま司法書士になった人もいるし、異業種で働いた後に司法書士試験に合格して司法書士になった人、ずっと補助者で働きながら何年も勉強をして試験に受かった人、行政書士等の他資格者として働きながら司法書士資格を取得した人、etc…。

色んな人がいるけど、共通するのは司法書士試験に合格したという事実。それぞれの過程は違っても、試験に向けて勉強を重ねた事実は共通するわけで、同じ目標に向かって達成したという事実が司法書士同士の距離も縮めてくれる。

最近思ったことで、分かれ決済の時、案件の依頼を受けてから決済までの間に相手方の司法書士と打ち合わせをして決済を迎えるけど、そこで初めて連絡をとる司法書士も結構いるわけで、でも司法書士というだけで初めからお互いのことを信頼しながら案件を進めていけるってすごいなー、と。同じ仕事をしているからといって、初めての人と初めから信頼関係があることって多くないんじゃないかな。

 

前話で気になっていた未来先生の話は、今回は出てこなかった。次の話のタイトルは「遺言書の意義」。気になる…。『セイギとミライ-熱血司法書士の事件簿』、ほんと面白い。

次は第8話!楽しみ!


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