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『セイギとミライ-熱血司法書士の事件簿-』第11件目「相続と贈与」

セイギとミライ11相続と贈与

セイギとミライ-熱血司法書士の事件簿』第11件目のテーマは「相続と贈与」。今回から第3巻。毎話楽しみに読んでいた『セイギとミライ』も最終巻になってしまった。

冒頭で未来先生が正義先生に向けて「あるでしょう?贈与が相続に影響するケースが」と話すシーンがある。『贈与が相続に影響するケース』って、あのことかな?と思いながら読み進めていたら、思っていたことと同じだった。条件反射的に思い浮かべられるのも、試験勉強の時に沢山勉強したおかげかなと思う^^。

弁護士や他の資格者と司法書士の連携

今回は弁護士が出てくる。弁護士に会う前に正義先生が『…怖くないか?』と、弁護士のイメージを話すシーンがある。怖いとまではいかなくとも、弁護士って身近にお付き合いのある方がないと、どこか遠い存在のような、敷居の高い人のようなイメージがあるように思う。

自分も今の仕事をするまでは、弁護士ってちょっと付き合いにくいイメージをもっていた節があるけれども、今お付き合いのある弁護士の先生は、みなさん気さくで、でも切れ者で、尊敬できる先生ばかり。

弁護士とは、訴訟案件で相談を受けた話が簡裁代理権の範囲外だった場合や、今回の話のように相続の相談で交渉ゴトが起こりそうな場合や、弁護士が受けている案件で判決による不動産の登記申請が必要になった場合など、関係をもつ場合が結構ある。弁護士から登記に関する相談がきたり、弁護士に裁判手続について相談することもある。

懇意にしている弁護士とは、お互いに電話等で気軽に相談し合うこともある。登記に関する大抵の相談はすぐに答えることが出来るけれども、たまに普段業務で扱わないようなニッチな範囲の相談がくることもある。そういった時は一旦回答を保留して、調査をして根拠を出した後に回答する。「~だと思う」と推測で答えるよりは、回答を保留してでも「~です」と根拠を示して回答する方が良い。

弁護士に限らず、他の士業の先生と普段から繋がりをもつことはとても大事。話の中にあるように、相続ひとつとっても、調停や裁判になる時は弁護士、不動産の相続登記をする時は司法書士、相続税の申告が必要場合は税理士、田や畑等の農地を相続した後に売却する場合は農地転用許可申請に行政書士・表題登記の地目変更に土地家屋調査士・不動産の売却に宅建士等、それぞれの専門分野での資格者が活躍することになる。餅は餅屋。

飲食業であれ製造業であれ、なにか仕事をする時は、自分の出来る範囲とそうでない範囲があって、また自分で出来ても他に任せた方が良い仕事ができることがある。士業も同じ。業務権限の関係で他士業にお願いしないといけない場合はもちろんのこと、場合によっては自分で出来そうでも信頼できるその分野の専門家にお任せする方が効率が良く、それは結局依頼者のためになる。

特別受益がある相続

今回の相続では、特別受益が問題になる。特別受益(遺贈や贈与等で特別に受けた利益)があった場合は、特別受益分を相続財産の価額に加えてから各人の相続分を計算する。そして特別受益者の相続分は、特別受益の当たる分の価額がそこから控除される(特別受益の持ち戻し)。受験時代に予備校の先生が「特別受益は足して引く」というキーワードを何度も言っていたのが、今でも頭に残っているw。

特別受益の持戻しに関しては、持戻しの免除について改正民法でその取扱いが変わっているので要注意。改正民法903条に第4項で『婚姻期間が二十年以上の夫婦の一方である被相続人が、他の一方に対し、その居住の用に供する建物又はその敷地について遺贈又は贈与をしたときは、当該被相続人は、その遺贈又は贈与について第1項の規定を適用しない旨の意思を表示したものと推定する。』と規定された(2019年7月1日)。また改正前は、特別受益にあたる財産は贈与した時期に関係なく算定されていたけれども、改正後は相続開始前10年以内にしたものに限られるよになった。

こういった仕事をしていないと、特別受益について知る機会ってあんまりないんじゃないかな。『セイギとミライ』を読むと、普段の生活では知る機会のない遺言や相続に関することについて知れる機会にもなるし勉強も出来る。

セイギとミライ』次は12件目!楽しみ!


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